2014年2月2日日曜日

スピについて その⑥ 年末の飲み会

スピ(=スピリチュアル)について 

その①  猫町読書会とSNSのこと

その②  クリスタル・ヒーリングとの、出会い

その③  セラピスト、なっちゃん。

その④  スピ部読書会での出会い

その⑤  水墨画家、牧三喜さん

 
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(※今回の文章は、フィクションです。)





2013年、年末。

カオリにあったのは、数年ぶりだった。

久しぶりに始めた、SNSでつながった。

高校時代の同級生、同じ演劇部で一緒にいろんなバカをやった。

高校時代、カオリはモテた。まさにアイドルだった。

彼女の愛くるしさは、人目をひき、

同じクラスの男子から何人も、告白されていた。

同じ男子から、3回も4回も、好きだと言われた、困った・・・と

相談されていた。別に、モテることを鼻にかけることもなかった。

演技もうまく、役者として、重要な役を演じていた。

それに対して、私は当時から、人間観察役だった。

裏方として、音響や、小道具の担当に進んでなった。

私は、高校三年間、特に浮いた話も無かったが、カオリはいつも良き友達だった。




ランチを取りながら
お互いに近況状況の、アップデート。


「仕事」と「恋愛」



これが、アラサーのメインの話題。

カオリも、まだ結婚していない。

あちらこちらに花が咲く。

機関銃のように繰り出す、かますびしいガールズトークが

ひと段落ついて、カオリが言った。


「これから、演劇部の部活の先輩に誘われて、

飲み会があるの、来ない? 途中参加、途中退出自由だって。」

名前を聞くと、私が現役高校生だった頃には

すでにOB・OGだった人ばかり。

最近は、没交渉に近い。ほとんど初めまして、の人ばかりだ。

だが、年末。私には特に用事もない。

人ごみ、家族連れの多さ。クリスマスの名残のイルミネーション。

いつもとは違う都会の雰囲気に私も浮かれていた。

とりあえず、顔だけ出してみることにした。


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恋愛話は、

人の暇つぶしと、恰好の話のネタとして扱われる。

特に、飲み会では。


真剣に言及はされない。


そこから冷徹に、現状と課題を分析し、今後の見通しを立てる・・・

なんてことも、当然しない(笑)

ただ、場が盛り上がるのにいい。


カオリとショッピング後、

遅れて、初めて行った、個室の洒落た居酒屋に顔を出した時には、

酔っ払いがさざめきあっていた。

知り合いの知り合いの、そのまた知り合い・・・という

人々も顔を出し、男女も半々ぐらい、合コンっぽい雰囲気。



一杯だけ飲んで、あいさつして、席を立とう・・・と

思っていた私は、浮かれた連中に両方から肩をたたかれ、

気づいたときには注がれたグラスのビールを飲みながら

左右の新しい顔と笑い合って自己紹介をしていた。


カオリは家の用事で、すぐに帰った。

**********
飲み会も中盤。

突然、私の左ななめ前に座っていた

カナコ先輩が話す言葉が聞こえてきた。


彼女は、高校時代、演技力とその外見の華やかさから、

ずっと主役級を演じていた。

私が1年生になったとき、先輩は3年生だった。

すぐに夏の地区大会で彼女は主役を演じ、そして引退した。

小学生時代には劇団に属していたそうだ。子役をやっていたらしい。

カナコ先輩は、観客の視線を吸い寄せる力を持っていた。

舞台の上に立つと、動きと顔つきが変わった。

周囲に、その緊張感がギンと伝わって、締まった。

そんなプロ意識を持った人だったから他人にも己にも厳しかった。

カナコ先輩は、高校卒業と同時に、アメリカの大学に入学した。

卒業して帰国後、今は、誰もが知る名前の、大手の外資系コンサルタントとして、

大きなプロジェクトの責任者をやっているらしい。

当時の、部員ほぼ全員、もちろん私も、

ずっとあこがれの人だった。 そして、今も。

私が、日本の大学に在学中、

アメリカに交換留学したのは、カナコ先輩の影響も大きかった。


そんなカナコ先輩が言った。

「ずっと不倫を繰り返していて・・・」

一瞬耳を疑った。

その場にそぐわない、暗い声。

その顔と思い詰めた顔を見たとき、

ドキリとした。


「もう、5、6回繰り返していて・・・」


酔いもあった。

私は、調子にのって、ついついビールを何杯もあけていた。

だが、明るい上がり調子の飲み会で

彼女の言葉と存在感が浮かび上がっていた。

美しい顔立ちだけに、なおさらだった。

その暗い、彼女の周りにだけある。空気。


「・・・・」


場が静かになった。

その後は、どうやって流したのか覚えていない。

きっと、誰か男子が笑えるジョークを言い、

そして、過ぎて行ったのだろう。





テレビのニュースが、どんなに残酷な事件を

報道しても、次の瞬間には

明るい顔をした芸能人がCMとして写り。


そしてほほえましい地域のニュースを伝えるように。

同じアナウンサーが、時間刻みで読み上げいくように。


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あまりに飲みすぎてしまい、なんどもふらつく足で、

お手洗いに立った。

その場で意気投合した、初めましての女の子と、

一緒にギリギリ終電で帰った。



アルコールの入った心身ではお風呂には入れない。

そのまま、パジャマに着替えてベッドに入った。

ぐるぐると視界が回る。

今日話したことが、アタマの中を心地よく熱をもって

かけめぐってくる。

分厚い羽根布団を頭からかぶって鼻歌を歌いながら、眠ってしまった。




深夜。ふと覚ました。


目覚まし時計を見ると午前3時だ。

酔いは、脳の中心と身体の中心をゆっくりと溶かしていく。

そして、突如として

飲み会の風景がフラッシュバックとしてよみがえった。





美しいカナコ先輩。

私が行きたかった道を生きている人。

アメリカの大学。収入と仕事。

高校時代の華やかな舞台の記憶。客席の後ろのすみずみまで

はっきりと伝わる声。

それを、息をのんで見つめていた後輩の私たち。

さっきの夜。

「不倫を繰り返していて・・・・」

その、思い詰めた表情。暗い声。

くりかえし、くりかえし。

ぐるぐるとその映像が脳裏をかけめぐる。





気づいたら、

私は吐くように泣いていた。


怒りと涙がこみ上げてきた。

嗚咽が喉からふりしぼって出た。

涙と咳が止まらない。

まるで、発作のように。



それが数時間続き、

夜明けになって、

私はフラフラと一階に降りて行った。



目を泣き腫らし、涙声でおはようと言う私を見て

両親はただ事ではないと察知したらしい。

一気に、私はあったことをぶちまけた。


父は言った。
「でも、他人がどうしようもないじゃないか。」



私の気持ちのアップダウンは、

次の日の一日一杯続いた。

怒り。哀しみ。悲しみ。
自分の内側から次々と湧いてきた。

このような状態になったら
仕方がない。

私は、自分がコントロールできない状況に
自分がなったら

とりあえず、
切り離し

自分自身を同時に見つめるのが
習慣になっている。


心身の内を
ぐるぐると
私の意志とは反して、

独立した、
暴れまわる生き物のようにめぐる
のたうちまわる蛇のような
感情を冷静に見つめながら

同時に
脳みそをフル回転させていた。

こうなったら理性はお手上げだ。
時が過ぎるのを待つしかない。
time will tell





人間関係の、結び方は、
人それぞれだ。

別に私が口を出すことではない。
余計なおせっかいだ。


だけれど・・・だけれど
あまりにも。

高校時代の、彼女の圧倒的な輝きを知るだけに。
そのキャリアの素晴らしさを知っているだけに。
カナコ先輩が、
そこに至るまでに、どれほどの血のにじむような
努力を積み重ねてきたか想像がつくだけに。


余計にショックだった。
なぜか。




信頼している人に
吐き出して、聞いてもらいながら。
アドバイスをもらいながら。

この混乱は、年末年始に収まった。





だが、同時に分かっていた。


☆30歳の社会人(=わたし)が、
このレベルの話を
飲み会で聞いただけで、
なぜここまで共感して、共振してしまい、
影響を受け過ぎて、動揺しているのか?



☆これでは、世に出て、
社会で働くことができないではないか?



と。







うすうす感じていた。

あまりに、私は、話を聞いた相手が
今持つ感情を、引き受けすぎるところがある、
引き取りすぎる所がある、と。



それは、真実か、どうかではない、

今、この場を共有している

その人の感情に敏感に反応しすぎてしまうのだ。

そして、その相手との共通点を感じるほど
私の中ででも、
反応する量が多くなる。


同じことが起こったら

単純に、困る。

と。




もう、自分自身で解決するレベルではない。




改めて、再会した
facebookでつながった友人たちの活動やきらめきを見ながら。
12月のスピ部での話・・・
そこでの参加者、

このブログにさんざん登場している、

to-koちゃん、なっちゃん、hitoちゃんの活動。
そして牧三喜さんのブログを読み直しながら。


こういう混乱のときに。
どうしようもないときに、
この世に、ヒーラー(治療家)っているのよね・・・

と思いながら。



私は、なっちゃんの
クリスタル・ヒーリングを受けることを決意した。


給料日のすぐ後の土日に。即。



だが、

なっちゃんのクリスタル・ヒーリング申し込みページに
希望日時を打ち込みながらも、
・・・こんなことをしている自分が信じられなかった。(笑)


1万五千円という金額をヒーリングで
自分につぎこむということで、
新しいお金の使い方を、練習してるんだなあ、

新しい生き方を選択してるんだな、

とぼんやり思っていた。



(つづく)











(注:クリスタルヒーリングに受ける経緯までの内容は、フィクションです。
登場する人物名・団体名はすべて架空のものです。)






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